THE TRAP OF ZEON “TEAM YASAGURE”
「AMBUSH」-待ち伏せ-

作品タイトル AMBUSH
製作・文 :RUN
使用キット :1/100 MGザクver.2.0、リックドム、陸戦型ガンダム、陸戦型ジム
2011年11月6日(日)開催 「モデラーズサミット2」出品

 ここからジオラマ製作のメイキングです。
 失敗の数々を記録していますが、何とか形になった経緯をごらんください。
 でかいベースです。ザクを浮かせているのは、5ミリのアルミ線。がっちりと下から接着しています。となりのパイプは電飾を通すための穴を事前にパイプで用意していました。

 ドム、ジムはユニット的に、ポーズを固定。

 ベース完成記念に、ベースの真ん中に「RUN」とふざけて書いてます。

 ある意味、懐かしい・・・(遠い目)
 構図は、この時点とまったく同じ。

 ここからいろんなものを盛っていくのですが、こんなに大変なことになろうとは(汗)・・・この時点で僕は知るよしもなかった。
 木は針金をよじって、芯にしました。結構楽しかったです。針金だと好きなサイズに作れますし、仕上げ時に剪定や折り曲げができるのがよかったです。
 「飛翔!ギャプラン」の時は木の根っこを使ったのですが、針金のほうが楽ですね。
 木は6本作りました。ジェルメディウムでコートしたのですが、つやつやになりすぎて駄目でした。結局、石粉粘土でコートして塗装しました。

 三色のフォーリッジをミキサーで細かく砕いて、ゴム系接着剤で接着しました。
 手前のドロっとしたのはミラコンです。水を混ぜるだけで固まる、手に入りやすく使いやすい。ほんの少し木工ボンドを混ぜる

 ベースに透明樹脂を流す前に、スチレンボードで少し埋めておきました。このアイディアは悪くないとは思います。まともに流していたら、いくら樹脂があっても足りなかったと思います。
 ここからバカがはじまる。スチレンボードの隙間を埋めるために塗らしたティッシュを重ねた。
 そこに、石膏の粉を振りかけて、ペタペタとスプーンでたたく。
 そして、上から霧吹きでシュッシュ!
 「俺って頭いい!(ほんとはスゲーバカ)」
 だって、ビフォーアフターで匠が、コンクリートでこんな技やってたのです。固まると思ったんだけどなー(ユージの家の駐車場作った時の回のやつね)
 しかーし、全然固まらない。
 もっというと表層だけ固まって、下は粉とティッシュのまま。参りましたね。でも考えてみれば、この時点はいくらでもやり直せた・・・

 が、さらに、バカが続く。

 さらに霧吹きで水をスプレーした。
 「浸透してないからだー」と一面ビショビショに。
 ここから、トラブルが重なっていく。
 石膏は表層が固まっただけで良しとし、「水の素プロ リバーグリーン」を流し込むことにした。
 なんかブヨブヨとゼリーみたいなんだけど、きっと熱で溶かすと固まるんだろ(と勘違い)
 電気コンロで溶かす。異様な臭いで、家族に大不評!それでも「今日だけ、今日だけ」とお願いする。
 流し込んでみた。
 「イエイ!すげー透明度、本当の水みたい!かっこいい!」と、流し込んだ直後は思った。
 だが、しかし、・・・
 いつまでたっても固まらない。ブヨブヨとしたまま、むしろ溶かす前よりブヨブヨだ。

 ゲー・・・なんだこれ〜????

 おまけにプロモデラーの荒木さんの話によると「水の素プロ」は変色する上、“プラスチックを溶かす”とのこと。(実際、ドムの腕に少しかかってしまった部分が溶けていた)

 このままじゃ、次の加工できないし、それにプラを溶かすんじゃ駄目じゃん。おまけになんか表面ネットリしてるし、これじゃ触れないよーーーー!(泣) 

 そうだ、上から透明樹脂流し込んじゃえばいいんだよ。透明度もそのままだし、きっとうまく行く!(うまく行かないんだな、実は)
 以前「ハートブレイカー」を作った時の経験から、「上から透明樹脂流せばいいじゃん」と。カインズホームでおばさんに「透明樹脂ください」と言って紹介されたのが、ポリエステル樹脂2キロ缶。エポキシ樹脂より安かったので、いいじゃん、これで・・・と思った。
 いいじゃん、いいじゃん、全部これかぶせちゃえば、うまくいく。よしよし・・・とこの時点では思った。
 がーーー!
 水の素プロが、ポリエステル樹脂の隙間からブニッとでてきた。なんだなんだ?どうしよ・・・・これじゃ作業にならないよ〜(泣)

 この時点で残り1週間くらいだったかな。
 覚悟決めたよ。バリバリとポリエステル樹脂をはがせるところははがした。さらに、ぐにょぐにょしたスライムみたいな水の素グリーンを引きちぎりながらできるだけはがした。全部はがしたかったが、模型とポリエステル樹脂はガッツリ食いついていたので無理だった。
 はがしていたら、固まってない石膏とティッシュがでてきた。粉が舞う〜、ゲー、なんてことだ。模型粉だらけ〜
 石膏の粉を封印するために、ドフィックスを三女にコネさせて流し込んだ。夜中にとんでもない作業。
 ミスったのは、木工ボンドをたっぷりいれた・・・少しなら問題ないのだが、欲張ってたくさんいれたら、固まらない。
 さらにあわてる、ほうっておけば固まったかもしれないが、上から霧吹きで水を噴いたら変なヒビがぁぁあ???
説明書に「固まる前に水を加えては絶対いけません」と書いてあった。いつまでたっても固まらない・・・涙
 結局、ドロドロのドフィックスをスプーンでかきとる気持ち悪い作業。まいった。ひどい作業だ。
 まぁ、とにかく粉は舞わなくなった。それだけでもよしとしよう。それにしてもポリエステル樹脂の収縮はすごい。毎日形が変わっていく。5%くらいは収縮してしまうらしい。
 水の素プロが悪さをするので、封印することにした。ポリエステル樹脂の下に水の素プロがあって、ブニブニしているのをEZウォーターのペット樹脂を練りこんで封印・・・何やってんだ俺は。
 地道に封印していく。これで水の素プロともおさらば!
 封じ込み完了!

 このあと、白いのをグリーンで塗装してから再度ポリエステル樹脂を流し込む、これですべてうまく行く!!(ホントは、うまくいかないんだけど)
 ポリエステル樹脂が、きれいに固まった。
 しか〜し、なんだ、この隙間は?
 収縮ぅぅ〜????
 ポリエステル樹脂の収縮がすごい。
 そして臭いがすごくて、家族から大ブーイング〜。
 おまけにさらに大変なことに。
 模型全体の水面が大きく、反り始めた。瓦みたいに反っていく。泣きたい。どうしたらいいんだよぉ〜???

 よし、さらにポリエステル樹脂流し込もう〜・・・え〜、ポリエステル樹脂がスチレンボード溶かしてるよ〜、この隙間から樹脂が抜け落ちて固まらないよーー!
 だめだ、ポリエステル樹脂はこれ以上使えない!
 よ〜し、力技!
 エッジにEZウォーターのペット樹脂をねじりこんで、ヒートペンで埋めてやる。それからエポキシ樹脂を上から流してやる。多少、反っても、ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂で押さえ込んでやる。えらいことになってきた。
 エポキシ樹脂を買ってきた。俺にポリエステル樹脂を勧めたおばちゃんに、「ポリエステル樹脂も透明になるけど、すごい収縮するよ〜、臭いもすごいし、そういうこと教えて欲しかったよ〜」と文句を言ったら、「私は専門じゃないので、わからないよー」と。なんだよ、ちゃんと勉強してから説明してよ!
 まぁ、とにかく高価だが、これを流せば終わりだ(と、この時点では思っていた)
 エポキシ樹脂は、高価だが、練り練りして、アクリル塗料で着色して流し込みます!

 1層目、ちゃんと固まった、よし、もう一層!!
 朝、通勤の前にあわてて主剤と硬化剤を混ぜ合わせた。ポリエステル樹脂は1パーセント硬化剤をいれるだけでガチガチに。こっちもだいたい混ぜとけばいいだろ・・・と。
 と思ったら、エポキシ樹脂の表面がなんだかべトつく。なんだろなーと思いつつ、もう1層流し込んでみた。
 うげげげ、なんだなんだ、なんで固まらない。はじめてだ、こんなことは。この油が浮いたみたいなのは?湿気か?昨日、霧がすごかったからなー(大いなる勘違い、実は攪拌不足)。湿気が原因なら、グロスポリマーメディム塗るといけるかな・・・

 何〜、グロスポリマーメディウムも効かない、湿度じゃないな、なんだこれ〜(攪拌不良だよ!!!)
 うげげーーーなんかひどい状態になってきたぞ。
 手前はひどいあり様。前面不透明にしちゃおうか・・・・

 よし、EZウォーターを“一粒一粒溶かせば”きっとゴールになる・・・と思い、ここからすごい地道な作業に入る。EZウォーター一粒一粒を低温ハンダで溶かして水面をモールディングしていく。

 気が遠くなりそう・・・間に合わないよ、こんな方法じゃ。
 よーし、面倒だ、EZウォーター、湯煎してみよ!
 湯煎じゃとけない〜
 直接火にかけると絶対失敗するから、魚焼き用の金網を噛ませて・・・うまく溶けてる。

 よしよし・・・
 色が少し変色してるみたい。

 早く、これ流し込むしかないか・・・
 ジオラマ全体を傾けて、EZウォーターを流し込んでみた。うわっーーーーつ、なんだこれは???

 真っ白しろになった、ひどい〜!途中で硬化して広がらないし〜、駄目だこりぁ〜、もうやめたい、なげだしたい!

 近道したら、田んぼに肥溜めにおちた〜って感じだ。
 とにかく完成させなくちゃ。

 ええい!グロスポリマーメディウム塗っちゃおう。
 EXウォーター、グロスポリマーメディウム、エポキシ樹脂がひとつの面でぐちゃぐちゃに。もうホンと大丈夫かね〜?もうやだ!

 あきらめたほうがいいのかな・・・・
 角度によっては、悪くないのだが・・・

 あきらめない方法を考えよう。
 駄目だった。盤面ぐちゃぐちゃ。
 おまけに真っ白白だし。
 ガンダムとジムの足、溶けてるし〜〜〜!
 EZウォーターをペンチで引き剥がして、強引に修正することに、何やってんだ俺は〜・・・・残り1週間ないんだけど・・・
 陸戦型ガンダムの足の装甲が熱で溶けて曲がったので、掘り出して修復しようとしたら水の素でてきた、くせー、このスライム野郎、また出てきやがって!
 大量のEZウォーターのペット樹脂。
 この樹脂で、表面の油をヒートペンでかきとりながら、水面を造形していく。
 ひとつひとつの水面の起伏を造形してく。面倒だが、もうショートカットはできない。安全策でいく。
 一粒一粒、ヒートペン(低温ハンダ)で、水面に貼り付けていく。
 大変な作業だった。
 見れるようにはなった。時間はかかるがいけそうだ。
 ちょっとギラギラしすぎなので、グロスポリマーメディウムでコートして仕上げた。やっとグロスポリマーメディウムが効くようになった。
 水しぶきは、当初、「水の素(ホワイト)」(透明のろうそく)で作ってみたが、イメージと違った。跳ね上がらないんだ。プールで泳ぎながら、水面をどう作ればよいか考える。
 閃いたのは、グルーガンのグルーとガラス粉を使って水しぶきを造形してみた。水しぶきもひとつひとつ造形した。「デンジャラススプラッシュ」では水柱が歌舞伎のセットみたいだったが、今回はなかなかの表現になったかと思う。
 一瞬はねて、水しぶきが水面の落ちていく、水泡ができては消え、できては消える。これだ、この表現だ!

 何度も何度も失敗しても、力いっぱい、目指すところにたどり着くようにがんばってみた。

 この作品に悔いはない。
 ドムがうなり、ザクが舞う、これでいいんだ。

 これだけの大きい作品、モデラーズサミット会場ではいい写真が撮れるはずだ。あの会場で撮るからこそ、作品が生きるはず。そこが目指したところだ。会場での撮影が楽しみだ。