第1回モデラーズサミット レポート 「プレイバック!」 〜思ったこと〜

「第1回 モデラーズサミット」思ったこと など

○特別なコンテスト
 オラザク選手権もガン王も写真審査となった今、モデラーが作った作品を直接持ち寄り、プロではなく一般客も含めて投票するこの特別な審査方法。一度他のコンテストに出した作品でも出品可能。プロモデラーが参加可能・作例でも出品可能。参加者数に制限があるというデメリットはあるものの、「うまいうまい」と言われてる人、ホントのとこどうなの?というのがリアルにわかってしまうという、すごい弱肉強食なコンテストかもしれない。

○審査が難しい
 152作品という作品数は、これまでの百鬼夜行が100作品程度だったため、非常に多く、僕には審査が難しかった。精度に投票するのか。かっこよさに投票するのか。自分の好き嫌いで投票するのか。どういう基準で投票するのか一人一人が決める必要があった。普通は自分の気に入った作品に投票することになるのだろうが。
 私の場合は、「かっこいい」と思った作品に投票することにした。どんなに技術的に高いクオリティでも、かっこいいと思わなかったものに対しては投票しなかった。みんなはどういう思いで投票したのだろうか?決め手にかける場合、結果的に「知っている人」に投票してしまうような気がする。

○5票とるのも難しい
 152作品中、お気に入りの上位10作品に選んでもらうというのは極めて難しいこと。5票とるのも難しい状況だと思いました。公式HPで結果は発表されていますので、モデルランナーでは0票の結果まで掲載してしまいました。どう思ったでしょうか?何か御意見あれば意見提案していただければ考えます。

○レベルがあがった
 今回、過去の百鬼夜行参戦者からも「レベル高いな」という話が聞かれた。作品数も多かったが、百鬼夜行よりレベルはあがりました。というのも、百鬼夜行では20位以内に入っていたクオリティの作品でも、今回は、20位いや30〜40位以下となっていた。(一覧表参照)
 レベルが高い、というのは、造形技術、塗装技術、そしてオリジナリティの総合的な意味をこめて、という話で。たぶん、模型を作っている主力が35歳〜40歳くらいになっていて、お金も時間も模型に費やすことができる人で、本当に模型(ガンプラ)が好きな人だけが、この世界に生き残っているから、みんなプロモデラーみたいになっているのかもしれない。戦いが激しくなるのは当然ですよね。

○東海メンバーまとまっているなー
 今回は、名古屋地方を中心とした「東海組」メンバーが事務局となって開催してくれました。私は東海組とのお付き合いは「もしもしMSV」からなのですが、「もしもしMSV」(H19.1.7〜8)、静岡ホビーショー(H21.5.16〜17)の共同制作「ドロス」出品(※東海組を中心としたNMC(Net Modelers Connection)として出品)などを経て、東海組のメンバーがとても団結して、様々なイベントに取り組んでいる様子を見ていまして、その団結力を保ちながら、事務局をやっていただき、感謝しています。ありがとうございました。今回、東海組メンバーが上位に成績を並べていますが、研鑽の結果と言うことなんだろうと思います。

○その他の模型サークル
 大阪は、かつて「塗装館」が全盛を放っていたのですが、代表が剣道に活動をシフトした結果、塗装館はなくなり、今はそのメンバーの残存勢力が拡大し「コジマ塾」となり、これまた大きいサークルになっています。サークル名はないと思うのですがアナハイムカフェに集うモデラー陣もまとまってきている様子があります。コジマ塾も今回のモデサミ出品にあたって、みんなで作品を持ち寄り、刺激しあっていたようです。
 東海では他にG-strikerも勢力としては大きいですよね、まとまっています。
 ファーストエイジは、兵庫県を中心に活躍しています。
 広島ではH.M.C(ヒロシマモデリングクラブ)が楽しそうに活動しています。
 じゃ、逆に関東モデラーってどうなのかな、と思った場合、G2000関東、あだちっく、いたばしっくG.P.M、千葉しぼり、千葉軍団、いっぱいあるなー。(「うちが紹介されてない!」ってとこ、あります?)
 今回「模型大好き(SNS)」というグループで出品されていたグループもあったのですが、“ソーシャルネットワークシステム”を利用したサークル活動というのも今風の新しい勢力なのかもしれない。

○地元に有利なの?
 確かに、地元モデラーのほうが多少は有利かもしれません。仲間が多いほうが得票を得やすいかもしれません。しかし、関東メンバーでも入賞する人はちゃんと入賞しています。それに今回は「10作品を選ばないと無効」というルールが効いていますので、全体に満遍なく得票が散らばっています。流れから言っても、メンバーが相互に研鑽を重ねた東海組・コジマ塾の勢いがあったのは間違いない。もともと東海・関西のメンバーが多い。百鬼夜行と成績を並べてみた場合、関東組と関西・東海組の栄枯盛衰が激しいのが特徴的でした。

○投票者数、参加者数がすごいことに
 今回は投票者384人というすごい数ですが、私の知り合いモデラーでも投票していないモデラーもいますので、参加者も含めて400人以上の見学者がいました。事前に各種模型誌でも告知していたので、すごい人数です。地元新聞にもとりあげられていたようです。ただ、多くの皆さんが、作品をチラっと見て移動する状態だったようで、それは残念。特定の引きが弱いゾーンなどは、まるごとスルーされちゃったり・・・(コワ〜っ!)普通の客はそれぞれの作品が何ヶ月もかけられた作品とか、フルスクラッチとか関係なくて、気に入るか気に入らないかだけですものね。
 参加申込者は161人なのですが、潜在的な需要は300人くらいの需要はあったのではないでしょうか。私のまわりでも「申し込みに間に合わなかった」という話がありました。枠が一次募集も二次募集もすぐに埋まってしまいましたから。僕もそこまですぐに埋まるとは思っていなかったのですが、たまたま残業して帰ったら、深夜に受付がはじまっていたので早いタイミングで参加メールを出せたという程度です。
 会場には、作品を並べるだけなら300くらいなんとかなりそうでしたが、受付や審査の問題を考えると、作品数を増やすことがいいのかどうか難しいところです。

○たくさんのブログでレポートがされていました
 百鬼夜行1st当時、「レポート」というのはあんまり一般的ではなかった。百鬼夜行1stのレポートをホームページで残しているのは、モデルランナーくらいじゃないかな。ブログでレポートしている方が多かったのですが、ブログって探しにくいんですよね、作品が。だから、モデルランナーでは、この展示会をそのまま表現したような展示形式にしています。クリックして画像が大きくなるのも私的には面倒なので、自分が見たいと思うレポート形式に工夫しています。
 たくさんの写真をのっけているブログほど、自分の作品が紹介されなかった時の落胆はありますよね。だから、モデルランナーでは、がんばって全作品のっけました。何回かイベントを繰り返した時に、「俺昔はこんなヘタレな作品を出品してたのか」くらいの思い出になるように、全員のさらなる飛躍を願い、全作品を掲載しています。また、できるだけいい写真を載せるように努力してみました。かっこいい作品ばかりでしょ?

○写真データについて
 私が撮影した画像だけではうまく画像をコンプリートできず、マンボウペンギンさん、バロンさん、Q.Bさん、モデサミ事務局から写真の提供を受けています。皆さんありがとうございました。また、逆に私からもモデサミ事務局に画像提供をしています。特にマンボウペンギンさんは全体像をとらえた写真が多く、Q.Bさんは作品の部分的な接写をしている写真が多かったので、使わせていただきました。写真家によって見る角度や、写真へのおさめ方がずいぶん違うなーと今回感じました。
 それにしても、152作品の撮影は大変でした。今までだと製作者に話を聞きながら(インタビューしながら)撮影したのですが、そういう余裕も全然なくって、昼飯も食わず、缶コーヒー1本飲んだくらいで延々と1000枚くらい撮影してました。撮影可能時間が5時間程度なので、20秒で1枚ずつ撮影していた計算になります。もし、これ以上作品が増えたら、レポートは一人で全部写真撮るのは無理だな。写真撮影のみでなんとか可能というくらい。

○作品の傾向(極めて個人的な見解)
カトキハジメさん・・・GFFの完成品を参考に作られたジムスナイパーガンダムやヘビーガンダムなど、GFFっぽい作品が多いのが顕著でした。また、ver.kaやレックレスなど、カトキハジメさんの描くイラストをモチーフにした作品が多かった。センチネル、ユニコーンガンダムやVガンダムも。やはりカトキハジメさんは偉大だ。
小林誠さん・・・ジオやスーパーFAZZなど、小林誠さん大好きっ子はボリュームのある作品づくりで目立っていたような気がします。シルエットでその機体とわかるため、おおらかさがありますよね。
プラモ狂四郎・・・パーフェクトガンダム、レッドウォーリアなどプラモ狂四郎の漫画に出てきた古き良き時代のモビルスーツをキットベースに製作していた方が見受けられました。
平成ガンダム・・・ウイングガンダム、ガンダムX、ターンAガンダム、SEED、ダブルオーなどを題材にした出品は、主役モビルスーツ機が多かった気がします。
ジオラマ・・・少なかったですね〜。あにさんの作品はビネットスタイル。荒川さんもボックスジオラマでかわったジオラマ作品でした(円形劇場の逆だ!)。あとはたけさんのデュナメスや、RYUさんのザクジオラマ。私のようなハードグラフ作品は1点のみ(荒川さんもハードグラフのフィギュアをつかっています)。
フルスクラッチ・・・多くないか?普通に素組みに塗装じゃ、もはや入賞は難しい状況。
1/60作品・・・目立たないことにははじまらない、ということで大きい作品が多かったです。

○ライブ感、生がいい
 やっぱり、模型コンテストは生がいいねぇ。なんでも生が一番なのだ。ライブ感がないと駄目。ホビージャパンの作例とかも雑誌で見るのと生で見るのは全然違う。こうして模型コンテストをみんなでガン見して、切磋琢磨しあうのはいいねぇ。参加しなくても見るだけでも相当な刺激になる。

○いろんな人に会えてうれしい
 外国に出張していて日本に帰っていたmatさん、アーマーモデリングのライターの中須賀さん、電撃ホビーマガジンのライターのGASさん、見学じゃなく参加して欲しい拳王さん。そういえば、なんで田久保さんはいなかったのだ?(軽く突っ込んでみた)

○次回の開催
 イベントがあるたびに、「次の事務局は?」という話になるのですが、東海組は、懇親会の時に「2回目もやる」と宣言していました。来年なのか再来年なのかはわかりませんが、この様子だと、次もまた名古屋での開催になりそうですね。

○コンテストに参加できること
 模型コンテストに作品を出せるなんて幸せなことだ。世の中不況・不景気の風が吹いている。模型を持ち寄ってこうしてバカができるなんて、とても幸せなこと。僕はマラソン大会でスタートラインに立つ時に同じことを思う。健康でスタートラインに立っている、こんなに幸せなことはない。10年以上ガンプラ作りをしているが、消えていくモデラーもいるなか、何度も何度も全国の友達と模型を持ち寄り、楽しむことができる。こんなに幸せなことはない。

 [RUN](2009.11.07 UP)