ビッグ・シューター

製作・文 :RUN
使用キット :1/20 WAVE ラプター
第3回関東Ma.K.模型展示会 マイオリジナル部門出品
第14回イエローサブマリン千葉店ノンジャンル部門 大賞

 このページでは、製作途中画像とともに、製作途中の様子をお話します。
 最初はラプターのポーズ変更から。キットの間接をニッパーできり飛ばし、ポーズ変更します。この時点では、「なんとなくビネット」くらいで考えてました。

 間接を2ミリアルミ線でつなぎ、針金人形にしてポーズを考えます。

 キットにエポパテなどを詰めて、そこに穴を開けてもいいんですが、マスキングテープでアルミ線を太らせて、そこにホットボンドを流し込んで固定しました。
 ポーズが決まったら、間接をミリプットエポキシパテで作っていきます。シーリング表現ですが、つまようじを使いモールドを作りました。軽くラッカーシンナーをつけた筆でなでるとなじみました。タミヤ人形改造コンテストの達人たちは、みな“つまようじ”を主力の道具に使っているので僕もつまようじ信者になろうかと。

 このあたりで、『ベースにのっけてビネットなら、いつもの作品とかわんないなー』と考えました。
  そこで、今回のお題を考えてみる。私が参加したのは「マイオリジナル部門」、かなり自由度が高い。
○Ma.K.世界に存在するオレ設定の作品がこのカテゴリーの基本になります。 全くのオリジナルデザインだけでなく、既存メカの小改造といったものでもOKです。
<例>
・ガンプラやスケールキットを使って傭兵軍の新型4足兵器を作る。
・SAFSのキットを使って、新しい傭兵軍兵器を作る。
・既存メカの武装を変更して派生型を作る。
 そこで、『ラプターが仮面ライダーガタックみたいに空中を飛ぶメカにのって、敵に強襲をかける、ってのおもしろくねぇ?』と思った。最初はコアブースターみたいなのを考えてみたが、『なんか左右にでっかいバーニァがついたのがいいなぁ』と思いました。
 近所のアソビットで資材を物色。この「1/144 ドダイ」を手に持つ。『ベースにするのにちょうどよくねぇ?』
 続いて、左右のブースターユニットを探す。ヘリコプターや戦闘機などのスケールモデルを中心に物色。そんな時このキットが目に飛び込んだ。「1/1200 マゼラン」。『これ左右につけたらかっこよくねぇ?』『でもなぁ、そんなでかいの作ったら塗装のバランスとるの大変だしなぁ・・・でも、今、俺に神来たかも・・・』などと自問自答したのち、これを二つとドダイを購入。
 事務局に提出したタイトルも「ラプター銃撃」から「ビッグ・シューター」に変更を申し入れる、覚悟を決める。残り期間はわずかだが、がんばることにした。

 そこからは“のって”作れた。シルエットは決まっているので、あとは、『自分の中でかっこいいと思うデザイン』に作りこんでいく作業だった。
 ドダイのふくらんでるパーツを切断しマゼランにつけかえたり、「1/144 スピリッツ装備型エルガイムMKT」のスピリッツの機首や、「1/100 ガンダムヘビーアームズカスタム」のガトリング砲をつけたり。考えるのは楽しい作業でした。
 ドダイであったり、マゼランであったりするのを消していきます。

 このあたりで写真を撮るのは、いわば「テスト」。この時点で「かっこいいかどうか」チェックします。『う〜ん、とってもいい感じ』と、娘たちのやってるラブ&ベリーの声が聞こえてきたりします。

 細かいことはきにしない!シルエット重視!ということを何度も繰り返し、細かいところで気になるところは目をつぶってバリバリ前進していきました。
 でも、こんなことも。タミヤのスケールモデルのキットなどからパーツを持ってきて、ミリタリー感を強調しました。マシーネンの世界にあうかどうかはわかりませんが、なんかかっこいいかなーと思って。こういうのは全体につけるのではなく、「集合と拡散」ということで、一部を強調したり、左右に視点を設けたりしていきました。

 瞬間接着剤と硬化促進スプレーを使っての作業が中心ですが、細かい作業では流し込み接着剤を使っています。

 溶きパテを筆で塗ったあと、筆で塗装していきました。
 ラプターの塗装の途中写真。なんとなく塗っていったら、妻からダメだしがあり、落ち込む。たしかにこれじゃー、いかん。妻から「得意な色で塗ればどう?」という提案があり、ミドルストーンやダークアースなど、もっとサンド系の色を重ねていくことにしました。
 ラプターとフライトユニットとの色バランスも重要。

 脳内設定では、
○地球上で活躍する。軍隊に属しているがテストとして機体を与えられている。
○ジャングルや湿地帯を低空で飛んでいく。短い時間なら高度を上げて飛べる。
○スピードと機体の安定性のために武器は少ない。
○単機で敵地に突入するため、資材を積み込んであり、生存率を高くしている。
 などを考えてあったりします。
 もっと「空飛ぶ戦車」みたいにしなくちゃ!

 色は紙パレットの上で混ぜながら考えてみます。ラッカーのミドルストーン、ハンブロールのマットサンド、ダークアースなどを軸の色にしていますが、フレッシュ等肌色系の色を使って明るい色アイに変えていきました。
 ハンブロールカラーもGSIクレオスのラッカー塗料もラッカーシンナーで溶く事ができるので、薄めた塗料を少しずつ重ねるようにして塗っていきました。ブラウンやグリーンなども使い、迷彩も描いたりします。
 難しかったのは、やはり上下の機体がちぐはぐにならないようにしなければならないということでした。

 ハンブロールのマットイエロー、カモフラージュグレーでラインを引いてみるとだいぶひきしまってきました。これこれ、これがやりたかったのだ。
 タミヤエナメルのフラットブラック、フラットブラウン、レッドブラウンをエナメル溶剤で薄めたものでウォッシング。全体をウォッシングすることで色が落ち着いてきました。

 ラプターのおしりにアルミ線で持ち手を作って塗装しやすいようにしておきました。
 右腕やアーマーは取り外せるようにして塗装しやすいようにしてあります。こうしてみると結構ベロベロ塗っていますが、エナメルシンナーはプラキットを割るので、すぐにキッチンペーパーでたたきながら拭き取っています。
 つづいて、チッピング。ガンプラでいうところのいわゆるハゲチョロですが、シルバーではなく、サンド、ブラウン、グレー、グリーンなどを混色しながら塗ります。混色するのは、色に深みを出していくためですが、混ぜすぎると汚くなるので、ベース色をハンブロールのダークグリーンとインターメディエイト ブルーにしました。
 チッピングのほかにも、フィルタリング、マッピングなど、いろんなウエザリング方法が世にあるのでまた試してみたいです。
 バッグ類は、ホットボンドで取り付けると簡単です。肉抜き穴を埋めて、あわせて接着しちゃいます。
 ホットボンドはざっくり接着する時に便利で非常に強度もあります。わずかな時間で作業ができるのもいいです。今回は活躍しています。
 ほぼ完成。あとはデカールを貼って、仕上げにウエザリングを追加したり、つやの調整をしたりします。

 ここまで来ると先が見えてきて、「あと一息!」

 頭の中ではこいつはジャングルの中をかいくぐり、空を飛んでいます。