1/700 WATER LINE SERIES
JAPANESE BATTLE SHIP YAMATO 大和

製作・文 :RUN
使用キット :1/700 タミヤ ウォーターラインシリーズ 日本戦艦 大和(やまと)
2006 東武 タミヤモデラーズコンテスト出品

■海面作成の工程を解説します。
 今回は、kansen太郎さんが運営されているHP「艦船模型倶楽部」で紹介されている方法を参考にさせていただきました。

■金子辰也先生の模型クラブのほかの受講生は、金子先生が紹介した石粉粘土で、海面も波もすべて、造形してましたが、私は違うやり方をしていました。(受講する前に課題を聞いてすぐスタートしちゃっていたので、そうなりました。)
 河合商会の「波板シート」(400円)を使用します。
 この上にウォーターラインシリーズのキットをのせるだけで展示する方法もありますが、今回はこれを「型」として使います。
 波板シートに油粘土で石膏を流し込むための型枠をつくります。

 赤い艦底パーツを『裏側にして』置きます。この赤いパーツの先端は鋭利に尖っているのですが非常に折れやすいのでマスキングテームなどで保護しておくといいと思います。
 艦底にメンタームを塗って、硬化した石膏がはがれやすいようにしておきます。

 KATO社のブラスタークロスをハサミで切って石膏の間に挟みこみます。石膏は割れやすいので補強として使います。ガーゼなどでもよいかと思います。
 ここに石膏を流し込みます。石膏はヨーグルトくらいの粘度で混ぜた時に軽くかき混ぜ棒の後が残るくらいが流し時かと思います。やはり気泡が入らないように注意して流し込みます。
 この面にさらにこの面にプラ板を貼って、強度をあげるとともに、ベースとのフィッティングをあげてやりました。
 型から取り出してみました。いい感じです。赤い艦底を取り出す時にパーツを傷つけないように時間をかけて慎重に取り出しています。

 また、かけたりひび割れたりしても、このあといくらでも修整できますので、だいたい形が出来たらOKとします。

 俺って天才と思った瞬間(笑)、この時点でご満悦。
 ヤマトをはめ込んでみました。
 ぴったりはまると気持ちがいい。

 エッジの部分はさすがにいびつだったのでサンドペーパーをかけました。

 海水面のかけた部分は、石粉粘土などで修整しておきます。
 ベースの板に「タミヤ 1/700 大型艦用ディスプレイ台座(ファイバーボード製)(1500円)」を使用。反り返りがない素材をしているようです。
 この台座は海面の塗装前なので、マスキングしておきます。バランスを見るためにジオラマ全体を何度か仮組みするためです。
 ヤマトが海面に深くはまりすぎているようだったので、石粉粘土で少しかさ上げしました。「喫水線をどこにとるか?」という問題ですが、赤い艦底と波のラインを私は合わせました。
 石粉粘土は金子先生が紹介してくれた「パジコ アーチスタフォルモ」のホワイトを使いました。この粘土で艦首波も作ります。
 海という1枚の布を「切り裂く」ように造形します。
 石粉粘土による造形が終ったら、ジェルメディウムを薄めたもので、全体をコートしました。表面を滑らかにするのと強度をあげる目的です。

 金子先生はこの作業をする時「木工ボンドをそのまま塗る」ということでした。
 僕はジェルメディウムやグロスポリマーメディウム、マットメディウムなどメディウム系の素材をすべて木工ボンドのバリエーションの一つと考えています。
 表面が乾燥したら、いよいよ塗装に入ります。
 ジェッソ(白)にリキテックスのアクリル塗料のディオキサイジンパープル(紫透明)をまぜて筆で塗っていきます。

 今思えばこの時点でもう少しグリーン系を混ぜたほうが深みがでたかもしれません。
 ジェッソ+ディオキサイジンパープルによる塗装が終りました。なんとなく海面らしくなってきました。

 こうした大きな作業は、4歳の娘と一緒にやったりしました。結構楽しいです。完成したヤマトを見せると「一緒に塗ったね〜」と言ってくれました。
 海面部分をフタロシニアンブルー(青透明)とフタログリーンイエローシェード(緑透明)を水で薄めたものにグロスポリマーメディウムを混ぜてサササっと2〜3回重ね塗りしました。
 かの有名なシェパードペインによると海面には緑を混ぜるのがコツらしい。
 金子先生の場合は、ここはタミヤのアクリル塗料のクリアーブルーを筆で塗る、ということです。私の場合も目指すところは同じです。
 ヤマトをのせてみます。
 この時点で金子先生に見てもらいました。
 「飛行機を撃墜させて戦闘中にしようと思っていますが、どうでしょう?」と相談したところ「砲口の向きがバラバラなため、訓練中がよいのでは?」ということでした。場面設定をきちんと考えてイメージしていく重要性を感じた一言でした。私はなんとなく砲口を組んでしまったので、この言葉は大きな衝撃でした。
 ヤマトと海面をジェルメディウムで接合した後、白波を作ります。艦尾の航跡に「レジンサンド+チタニウムホワイト+パールホワイト(少し)」を筆でたたくように塗りました。
 左右の航跡に「グラスビーズ+チタニウムホワイト+パールホワイト(少し)」で塗りこみました。
 高荷義之先生の画集や、ヤマトを実際に撮影した時の写真などを見ました。少しオーバーな表現にしてあります。
 そして「空間表面を切り取る」意味で、海面のエッジをケイオスブラック(シタデルカラー)で筆塗りしました。
 なんとなく、ふちをブラックで塗ったことが気になってしまい、思案したのち(約24時間悩みつづける)、エッジを塗り替えることにしました。すでにすべてのパーツを接合してしまっていたので塗り替えは大変でした。
 まず、フラットホワイトを塗ったのち、一部白波の泡を残すようにホワイトを残しつつ、アクリルのクリアーブルーで塗装しました。エアブラシの細噴きで乗り切りました。
 艦尾から立つ白波は特にオーバーに。実際に船から水面をのぞくと、「ほとんど白」です。
 こういう作品を作っている時は、非常に海面の様子が気になります。家族でお台場遊覧船に乗った時も航跡がとにかく気になったりしてました。

 ヤマトと海面のスキマにはグロスポリマーメディウムを流し込むなどして調整してやりました。
 仕上げにグロスポリマーメディウムを塗りました。つやがでるようなものなら、いろいろ使えると思います。

 艦首のキラメキもいい感じになりました。一つ一つの小さな起伏が光を反射してキラキラひかっています。

 金子先生は、この曲鏡面を先端が丸い棒でスタンピングして作っていました。先生がおっしゃっていた「大きな波の中に小さな波がある」ということでは、私の作品は少し大味な感じがします。