きじむなぁの足あと

 ダンナと結婚するまでの過程は、波乱万丈だった。当人同士の問題もあったし。3年つきあって、結婚した。その3年の間に別れてた時も。でも私はあきらめられなかったのだ。そんな熱い?思いをどうにかせねば・・。

 「きじむなぁの足あと」に託した。女の子2人で沖縄旅行に行った。気楽な旅。とはいっても、私の心は沖縄の空のように晴れわたってはいなかった。心のどこかにダンナのことを引きずって。「せっかく来たんだから、万座毛に行ってみない?」ふたりで、自転車をこぎまくり、万座毛へ。坂を登ること、登ること・・息はゼイゼイするし、道がガタガタしていておしりは痛いし。いやぁまいったまいった・・・ が、きっきれ〜!!空も海も透きとおるブルー、ちっちゃいことでじめじめする事はない!と急に元気になってしまったのだ。

 それからは楽しく観光して、沖縄がますます好きになっていった。でも決して、だんなのことを諦めたわけではなかった。それどころか、さらにパワーアップすることに。気持ちの高ぶりは最高潮。あとは実らせるだけ。と勝手な解釈で、もりあがっていた。

 そして、出会ってしまったのだ「きじむなぁの足あと」に。琉球村のおみあげ屋さんにそれは並んでいた。こじんまりとして、可愛らしく、ひと目で気にいって買った。木の葉の形をしたものに、きじむなぁのかわいらしい足あとが、ちょこんとついている。沖縄の海の水につけて家に持ち帰ると、願い事が叶う。そんなことが書いてあるのだが、いったい誰が信じるのか?

 私だ!

 さっそく買ってすぐに、海の水をつけてお願い事を心から・・。勿論ダンナのこと。私も諦めが悪いなぁ。去るものは追わず・・いや、去るものほど、欲しいのだった。心躍らせ、強くきじむなぁの足あとに願いをこめて。もうこれで、8割がたOKだ。そんな感があった。まさに単純で、騙されやすい脳みそなのだ。でもすぐに上手くいったわけではない。戸棚にしまわれた、「きじむなぁの足あと」はなかなか効力が発揮されない。やっぱり、ただの土産かぁ・・いやいや、信じねば・・そんな葛藤の中でじわじわと来た。

 「きじむなぁの足あと」が来てから、半年。とうとう願いが・・・。別れていた二人が再びつきあうことになって、結局念願の結婚に辿り着いたのだ。何事も信じるものは救われる?!ところで、「きじむなぁの足あと」には続きがある。願いがかなったら、川や海にもどし沖縄にかえしてください。と。結婚して丸2年、いまだ「きじむなぁの足あと」がある。願いがかなったのに。名残惜しいというか、欲張りというか。でも今年こそは返してあげよう。「きじむなぁの足あと」ありがと!! 

(きじむなぁは沖縄に昔から伝わる木の妖精。大きなガジュマルの木に住み、心のきれいな人しか見ることができず、友達になると幸せをもたらしてくれると言われている。)