10年後の伝説

 釣った魚に餌はやらない。亭主、元気で留守がいい。そんな言葉が一時はやっていたのを、思い出す。昼休みでの会話からだった。最近、ダンナの帰りが遅い。また、泊まりのこともある。勿論、仕事が忙しいからだ。妻としては、身体が心配できがきではない。

 そんな話しのなか、結婚生活10数年の彼女が、口を開いた。少し得意気に、顔を傾け横目に私を見ながら。「まだまだ、結婚したてだから心配なのよ〜。私なんか、いなきゃいないでいいわ〜。でもちょっと悪いから、どこ行ってたかぐらいわ聞いてあげるけどぉ」

 そんなものなのだろうか?いまでは、全く考えられない。しかし、あんなこと言った彼女の最後のセリフで、ドキッとしたのだった。「私も結婚した当時、ダンナの帰りが遅いと心配で、心配で。でもそのこと話したら、みんなに10年も経てば変わるわよ。気にならなくなるからって言われて・・・。でも本当だったわ。」彼女は高らかに笑った。
 こっこわい!!なんだかそんなになることに、恐さを感じたのだった。だが、よく考えて見ると、なぜそんなことが起こるのだろうか?果たして、私もなるのだろうか?

 いやぁ〜私はならない自信があるのだ!!こんなおもろい人をゲットした私には、人生がおもしろいものと保証されている。ただのアホ、ということではない。柿の種をうまいうまいと食べると、今度は辛さを中和するために甘いものを捜す。そこになければ、歩いて別の場所に水を飲みに行く。しかし側に甘いチョコがあれば、それを食べ、そしてまた柿の種を食べる。あ〜やめられまい、とまらない・・・。つまり、ダンナは柿の種とチョコを絶妙なバランスで持ち合わせているのだ。

 こよなくおもちゃ作りとマラソンを愛し、おおぼけをペロリとやってのける。しかしドジを連発しても、尊敬するところが多々ある。そんなチョコ柿ピーのような彼が、一生側にいると思うと、ワクワクしてならない。彼の友人がいった言葉「永く付き合わないと、(彼の)良さやおもしろさは、わからない」まさにそのとおり!!ぜひ、お試しあれ!そんなこんなで、結婚してからますます、おもろい生活。10年経っても、我が家はおもろいままであろう。