■課題 前回まで徹底ディテーリングしてましたが、何のためにそんなことしてるのかというと、リアリティ、特にスケール感を出すためなのです。しかしなかなか10mって大きさには見えなくて、今回から違う方向性でこのスケール感出しにいどんでみようと考えました。 汚し・塗装でリアルさを追求していくことにしました。 特に重要視したのが「パネルライン」というものです。現実で巨大なもの(戦艦や航空機)をつくるとき、巨大な面積の鉄板を鋳造するわけにはいきませんから、小さいパネルを貼り付けて溶接して大きな鉄板にするじゃないですか。そんな感じでモビルスーツにもパネルラインがあるはずだと考えました。(これはスジとは違います。スジは航空機でいうとハッチや羽根などの可動部分のようなもっと太い隙間だと自分は考えます) これを表現するためにそれはそれは真摯に研究しました。 パネル一枚の大きさはスペースシャトルで数10cm、最大でも人と同じくらい。パネルの線は見えるのかどうか・・・実は1/144のスケールならかすかに見えるだろうけども0.1mm以下なので表現不可能。それで線は引かずに、パネルごとの微妙な色味の違いとか、雨汚れの始まりと終わりとかでパネル一枚一枚を表現することを考えました。 ■デザイン カプルはキットのまま、ウォドム手とミンチハンマーは資料やDVDから適当に作りました。 ジオラマ的には牧歌的な草原の優しい感じ、でもダイナミックな構図というふうに構成しました。 コレンの赤カプルが早まって出て行こうとしていて、それを手前のロランが制止しようと追いかけていて、ソシエも追いかけています。メシエの緑カプルも追いかけようとしてますがコレンに引っ込んでろとはたかれて倒れかけています。パン工場つぶしてしまいそうなのでキエルがあぶないと言っていて、リリは風圧でスカートの裾を押さえています。キースもパン工場から飛び出してきました。 |
■制作 今回は塗装に重点を置いたので工作は控え目。 ○カプル 切り離して薄々加工してひっつけなおしは、ちんこカバー・スネ・頭頂部キャノピーだけ。 あとは定番のクリアアイズ・爪とがらせ・パーニアとミサイルの穴あけ(単にあけただけ)。 ○ウォドム手 プラ板・プラ棒とイエサブボールジョイントでフルスクラッチ。 始めて指間接一個ずつ作ったけどメンドクサイ。片手だけだったのでなんとかなったです。軽量化のために、中をくりぬいたりいろいろと工夫しています。 間接が見えないようにナノコーティングってことでビニールかなんかを貼ろうかと考えたのですがやめました。なぜならめんどくさかったから。 ○ミンチハンマー これもプラ板・プラ棒でフルスクラッチ。もっと太く長くなる予定だったけども、刃のサイズから考えると大きな間ができてしまってバランスが悪く思えたので、割と小さくなってしまいました。 ○フィギュア プラ棒とパテで。過去作のMSデッキやメタスのときやって慣れたので割と楽に作れるようになりました。今回は更に凝って、ソシエのスカーフとかリリの日傘とか。まぁポロポロ折れまくりですが。 ○パン工場 1/150鉄道模型の「公民館」ってやつを買ってきて、煙突と屋根作ってつけたり色ぬりかえたり改造して使いました。 ○草原 料理についてきた不織布とかいうやつをリサイクルして、絵の具で染めて使いました。ふちはちぎっていい感じに草むらの感じを出しました。ジオラマで、崖の切断面が見えてたり、額縁みたいなフレームにするのは、なんか気になってしかたなかったので、地面はぺったんこのプラ版一枚です。土や草用にジオラマ材料買い込んだけど結局使わなかったです。このスケールなら土はぺったんこにしか見えないはず。 ○固定 前に誰かが飲み会で見せてくれた黒っぽいなんとかザク、げしげし動かせてとても良くて、カプルもあんなふうにげしげし動かして遊びたいと思ってました。でも今回この構図を実現するためにはさすがに接着して固定せざるを得ないかと思いましたが、軽量化したり、針金を折り曲げて足爪先のすきまにうまくスライドさせて留められるようにしたりと、工夫を凝らしまして、カプルには穴あけずに固定させることができました。 ■塗装 今回のメインテーマ。 町で写真撮りまくり、ネットで画像を集め、テストピースで様々な手法を試したりと、がんばりましたよ!とにかくリアルを追求しまくりました。暗いとこで作るので朝起きて見たら表現が過剰になりすぎててなんじゃこりゃってなって何度も一からやり直しました。 絵的な良さとか味というものを求める人が多いとは思いますが、今作はそれとは正反対のポリシーを貫いてます。徹底リアル追求主義です。どちらが良いというわけではないと思うのですよ。絵画の分野で抽象派と写実派があって、どっちでもいいと思うのですよ。どっちも楽しめるのが一番いいんじゃないかな。 汚しにも一家言ありまして、うざいでしょうが聞いてください。 むかぁし働いてたころに得た知識であいまいですが、流体力学で「なんとか定数」ってのがあって、粘度は一定なので、ミクロの系だとマクロの系よりも比較的影響力が大きいだか小さいだか・・・。どういうことかというと、建設機器で三センチのハゲチョロが、十倍の大きさのMSなら三十センチになるかというとならなくて、巨大なものでもハゲチョロは三センチってことです。1/144とすると0.2ミリ。ハゲチョロは最大でどの程度まであり得るのか、雨汚れは最大でどの程度の太さか、町を観察して研究したですよ。 手法もいろいろ試した結果、色鉛筆を用いることにしました。つや消しを吹くと表面が若干ざらざらになるので、そこに色鉛筆がのるのです。この方法の良いところは、ある程度修正可能、細かい線を出せる、手軽ってとこです。悪いところは、つや消しを何度も吹くので白っぽくなる、トップコートするとたまに全部消えてなくなる、色が弱い、ってとこです。 さまざまな表現を施しました。 ・パネル ・長期間日光に当たったことによる退色 ・さらに黄ばみ ・パネルラインに沿った錆 ・たぶんジオンマークがあって嫌だったのでそこを上塗りした跡 ・マーキングや上塗りした塗料がパネルラインに沿って剥がれ ・マーキングの流れ ・街灯に使われてるブリキかアルミかなんかにある金属特有の変な模様を ミンチドリルの灰色部分に ・ミンチドリルで叩いた相手の塗料のこびりつき ・細かく切ったデカールをいっぱい ・デカールの変わりに色鉛筆で点々かけばいいことに途中から気づいた ■反省 投票してくれた人ありがとさん。今回も少なかったけど思ったよりは多くて大満足です。ありがとさん。 俺、すごく視力がよくてかなり細かいとこまで見えるから今作もいい出来に見えるんたけど、一般的な視力で見ると「ただのパステルカラーなカプル」にしか見えてないんじゃないか、ということに気づきました。でも本物サイズのガンダムもほとんど真っ白にしか見えないはずだから、まあリアルなのかなー。 近いうちに拡大写真と参考にした資料写真をミクシィにのっけます。 それともう一つ、真理に気づきました! リアリティを追求した結果、有効なのは 五位 マーキング 四位 ディテーリング 三位 汚し 二位 薄々加工 でしたが、最も有効なのは・・・ 「色」! ということに気づきました!とにかく現実とまったく同じ色を出しさえすれば、素組みでもリアルに見えるはず![TAKU] 1/144サイズでフュギュアがスクラッチで作りこまれているのがすごい。フュギュアの写真も三脚なしでマクロ機能を使って撮影してみた。 ジオラマもカプールがユーモラスな演技をしているのが面白い。 なお、本当のタイトルは「「○○」で左の○に斜め棒なんだけど、その文字ないので「○○」でいいです。 」とのこと。 [RUN] (2008.04.03 UP) |