STEEPLE-CHASER

製作・文 :RUN
使用キット :1/35 U.C.ハードグラフ 地球連邦軍 対MS特技兵セット
第1回モデラーズサミット出品作品(平成21年10月11日)

■製作のきっかけ
 モデラーズサミットに出品する題材をどうしようかと考えていたのですが、他のモデラーがあまりやらないようなことをやってみよう、ということで、今回はUCハードグラフのジオラマで参加することにしました。

■最初に
 「STEEPLE-CHASER」とは「障害物競走をする人や馬」のこと。ジオンのモビルスーツを破壊するため、ジャングルを駆け抜ける連邦部隊をイメージしました。モビルスーツは股間が弱いからギリギリまで近寄らなくちゃいけない。
 様々な障害物を「障害物競争」にちなんで配置していくことに。借り物競争、一本橋渡り、水たまり、跳び箱ごえ・・・娘たちの運動会を思い浮かべました。

■フュギュア
 使用キットは「U.C.ハードグラフ 地球連邦軍 陸戦MS小隊ブリーフィングセット」。
 モールドを超音波カッター、ヒートペン、BMCタガネ等で彫りこんでいます。基本塗装をエアブラシで大雑把に塗り、細部をハンブロールカラーで塗り分けました。肩にかかるベルトはプラストライプで追加し、階級章は付属デカールを貼っています。眼も墨入れでごまかさず、ちゃんと塗りました。

■陸戦型ガンダムの腕
 スーパーメタリック・スーパーチタン(クレオス)で全パーツを塗装後、Mr.シリコーンバリアー(GSIクレオス)を筆塗り、エッジにマスキングゾルをスポンジで塗布。基本塗装後、デザインナイフの丸刃でコリコリと塗装をはがしてみました。ガンダニウム合金はさびないけど、塗装やコーティングははがれるだろうというイメージです。ベースにセッティングし、ウエザリングをして仕上げています。シリコーンバリアーを使う方法はモデグラで活躍中の伊原源蔵さんから教わった方法です。

■ベース
 木枠を組んで、ニス(マホガニー)で着色。スタイロフォームをカッターで削って地形を作り、シーナリーブラスターで地表を覆いました。
 下草は焼きそばの乾燥パセリ等、植物は和巧の「紙創り」、レーザーカットされた紙で出来ています、クセをつけてからラッカー塗料で塗装、仕上げにハンブロールのサテンコートを塗りました。潅木は軽量粘土を完全に乾燥させてから引きちぎり、エナメル塗料で着色。
 ヘビ2匹とイモムシはエポパテから。ヘビとチョウチョは、目立つように明るい色で。壊れた部品としてメガネ用の極小ネジなどを撒いています。
 水は、スコールのあとに湧き水で流れができた、という状態をイメージし、リキテックスのグロスポリマーメディウムを数回にわけて塗布。兵士が駆け抜ける中、水を跳ね上げた表現はブリスターパックを低温ハンダで溶かしてつけてみました。

■モデラーズサミット 参加結果
 384人の投票者全員が152作品のどれか10作品に投票し、この作品は、21票を獲得し、第45位という結果でした。遠めから、自分の作品を見てくれている人を見ていたのですが、よく見る人はかなりの時間をかけて見てくれていましたが、見ない人は全く見ない・・・という様子でした。予定どおりなのですが、ちょっと微妙。作品がすごく多くって、注目作品以外はチラ見程度だったというのが実情だったと思います。いろいろ小細工したのに、細かいところにはあんまり気付いてもらえていないようで、今後、同様のコンテストに参加する時は、もっとよく考えたいと思いました。

■増設ページ
 (1)製作途中画像 等
 (2)第1回モデラーズサミット会場で撮影した写真

 全景、狭い空間に密度を高くして配置するようにしました。
 名古屋まで持っていくので、今までのジオラマの中ではこぶりな作品になっています。

 タイトルプレートは、アルミプレートを金属用はさみで切断。
 文字は、アルプスプリンタで自作したものを反転させて貼り付けています。(擦れ防止のため)

 水が湧き出た様子は、グロスポリマーメディウムを複数回に分けて筆で塗りました。
 兵士の装備品はすべて接着したまま塗り分けています。ヘルメットだけはあと付け。

 誘導弾と二人の兵士がなかなかうまくセッティングできなかった。
 簡単そうに見えても手間がかかっていると作ってはじめてわかる。
 服装も足元を中心に泥汚れをつけました。

 自分ではがんばって塗り分けたと思っているフェイスだったが、こうしてみるとまだまだ荒い。しかし、ジオラマはやはり全体の構成やアイディアが重要なので、このくらい塗れていれば作品を増やしていってもいいかな、という自信にはつながりました。服も面相筆で設定どおり塗り分けている。
 服の合わせ目やエリなど、彫り込みました。口とかも彫ってます。

 モビルスーツの腕は関節も含めて固定。
 蛇はエポパテを年度をこねてウニョウニョと。
 イモムシも葉っぱにつけました。

 草は和巧の「紙創り」のジャングルパック(絶版)をつかいました。レーザーで切断された葉っぱの形をした紙です。その紙を着色し、手でクセをつけて、幹は針金、プラ棒などから作りました。着色は単調にならないように筆塗りとエアブラシを併用。お気に入りはシダ系。

 フュギュアは塗りこめば塗りこむほど、よくなっていく感じがありまして、作っていて楽しかったです。ドライブラシはしていません。最近の流行としてドライブラシは古い作風に見られるから。ドライブラシをしないでどうやってみせるか、というのを、しばらく続けています。

 手前の花々と、ガンダムの腕に傾斜を付けたのは、娘と妻のアイディア。家族の協力がなくては私のジオラマは完成しません。
 このジオラマ製作中に妻がバレーボールの練習でアキレス腱を切ったのはとてもまいりました。

 この角度からの絵が好き。
 基本的にフュギュアが主役だけどモビルスーツハンドが主張している。
 モビルスーツの腕は、ここに落ちてから、しばらく時間が経過している感じとした。

 隊長。連邦マークはデカール。
 ピストルを持つ右腕は角度を落として、物陰に隠れて少し落ち着いている感じとした。

 モデラーズサミットの時に、ほとんど見てもらえなかったうしろ側。
 G2000とうりょうが後ろからまわりこんで、ダメなところをさがすので針金の露出などないように。

 モビルスーツのヒジがえぐれているが、この作業は超音波カッターを使うと数秒で終わった。超音波カッターはこのジオラマを作る際もいろいろと活躍してくれました。

 右うしろから・・・何かが・・・

 大蛇が襲っているイメージで作り始めたのですが、かわいくなっちゃいましたね(笑)
 舌のチョロチョロも筆の毛を抜いて作っているのですが、わかりにくいですよね、さすがに。
 蛇の鎌首を持ち上げるために、支えながらエポパテを硬化させました。

 パキラの幹は、ランナーを伸ばしたものを接着してつくりました。
 草は紙っぽくならないようにしてみました、逆に「既製品」?と言われてしましました。。

 イモムシも小石も娘のアイディア、時間いっぱいまで要素を追加追加で。

 上から。モビルスーツのパネルハッチも少し開けて内部をチラ見できるように。
 エナメル塗料等で内部を塗り分けました。


 このような発表の場を設けていただいた実行委員の皆様に感謝申し上げます。
 また、製作中にアドバイスをしてくれた妻や娘に対して、名古屋まで行かせてくれたことを含めて感謝します。ありがとう。

 [RUN] (2009.10.29 UP)