PRINCIPALITY OF ZEON MASS PRODUCTION TYPE AMPHIBIOUS MOBILE SUIT MSM-07 Z'GOK
VS E.F.S.F. MASS RRODUCTIVE MOBILE SUIT RGM-79 GM  BATTLE SCENE DIORAM

 HEART BREAKER 

作品タイトル :ハートブレイカー
製作・文 :RUN
使用キット :1/100 MG 量産型ズゴック  1/100 MG ジム
2006年1月8日(日)開催 「百鬼夜行2nd in 大阪」 会場投票第3位

■このページではジオラマのベースの作り方を中心に解説します。
 ベースはもともと別のキットを使用してビネットを作ろうと思っていたのですが、アイディアがまとまらなくってこの「ハートブレイカー」に使用することにしました。
 木枠ベースは自作、中に発泡スチロールの積層を詰め込み木工ボンドで接着。ズゴックの足がはまるところを手でくり貫きます。
 ベースの塗装はリキテックス社アクリルカラーのフタロシニアンブルーとジェッソを混ぜたもの。
 その上からゴールデン社のハイソリッドゲルとフタロシニアンブルーを混ぜたものを塗っています。
 MGズゴックの固定からはじめます。MGズゴックの間接をニッパーでちょきんとちょんぎります。そして3ミリ径のアルミでつなぎました。特に右腕、上半身、腰、右足は1本のアルミ線でつなげて強度の確保をしました。同じことをやってみればわかると思いますがこの工作なしにはジムは支えられません。
 あまり穴をゆるくするとポーズ付けがしにくいので、ギリギリの径にしてペンチで引き抜くようにしました。
 ピンバイスで3ミリ径の穴をあけます。
 3ミリの穴をあけるとなるとピンバイスだと力が入らなくて穴が開けにくいので、軸の太い持ち手を使っています。
 アルミ線は色付きのものを選んでスキマから見えたとしても目立たないものを探しました。2ミリ、4ミリのアルミ線もあります。ピアノ線も実験したけど硬すぎて加工できないです。
 ベースに立たせて見ました。
 一瞬いい感じかな?とも思いましたが何か違うような気がします。しかし、とりあえず接着することに。
 接着は2液混合の5分で硬化するエポキシ系接着剤を使用。
 ジムを指して形状確認。よしよし・・・?
 悪くはないのですが、どうもイメージと違う・・・

 ここで、携帯電話のカメラで以前撮影した画像を確認する。自分でもポーズをとってみたりする。
 「ああっつ、ヒザが曲がってないから、おかしいんだ!」
 と気づく。
 3ミリ径のアルミ線をいれたことでヒザ間接が動かなくなってしまっていたのです。この失敗は過去にも経験していたにもかかわらず、今、気づきました。
 まずい、もう接着しているのではずして加工はできません。
 一晩考えます。
 「まぁ、いいかな・・・こういうポーズもおかしくないし・・・」
 妥協するか、改善策はないか・・・
 次の日の早朝、ジョギングしながら思います。
 「ここで妥協しては駄目だ、自分の直感を信じろ!
  手術だ!装甲をはがし、アルミ線を切断するんだ!」
 と、そのジョギング終了後、右足のふくらはぎの装甲をはがして、内部装甲をニッパーで砕き、強引にニッパーを差込し、アルミ線を切断。まるで手術だな・・・
 
 そして手術成功!
 ヒザがしっかり曲がったぞ!
 力が入ってるように見えるぞ。

 装甲でフタをしてしまえば、内部フレームの様子など見えないですし、問題ないでしょう。
 ジムの腹を貫いたり、ズゴックを手術したり・・・と、なかなか勇気いります。
 再度、全体の雰囲気を確認。
 「よ〜し、これだ!これが完成のイメージだ!
  これがハートブレイカーのイメージだ!
  いけるぞ、あとは水面の表現で完成だ、やってやるぞ〜」
 とても興奮したのを覚えています。

 このあたりで、ジムのつけ方を変えることでAモード(投げ)とBモード(串刺し)の2つのモードを思いつきます。投げている状況のほうが、刺激的だと思いました。モードチェンジもこの作品の売りの一つに加える事に。

 ここまで来たら、あとは塗り絵に近い。
 次の勝負は海面だ!
 最初はasse社の2液型エポキシ樹脂接着剤を使用。
 透明樹脂で海面を作ろうとしてみました。山田卓司さんのMGズゴックを使った滝のジオラマでこういう樹脂が使われているようだったので大丈夫だと思ったのです。
 すごく透明感があって、一瞬いい感じ、とも思ったのですが、なんとなく海っぽくありません。水溜りのようです。
 そこで、つまようじや割り箸を使って、透明樹脂を朝までつきっきりでかき混ぜたり、隆起させてみたりしました。
 しかし、うまくいきませんでした。白く白濁するだけでした。隆起もうまくいきません。
 やはり硬化テストなどするべきなのでしょうが、時間の余裕のない私はいつも「テストを兼ねた実戦」なのです。
 「これじゃ、おかしいよな・・・」と考えます。 最初から透明樹脂だけで波をつくりにくいとは思っていたので次の手段をとります。
 そこでリキテックスのフタロシニアンブルーとジェルメディウムを混ぜたものを筆と指で塗りたくっていきました。海面の小さな隆起はこれで良さそう。
 白波はリキテックスのテクスチャアジェルのブレンデッドファイバーで白波を作ろうとしてみました。塗った直後はいい感じなのですが、硬化すると隆起がなくなり、色もほとんど透明になってしまいます。テクスチュアをつけるためのものなので色がつかないのは当然だったかもしれません。ここでも「これはこれでいいんだけど激しさがないな・・・」
 そこで、この後におよんで、海面に使える素材をいろいろと硬化テストさせてみました。
 下地を変えたり、混合比を変えたりいろいろ実験します。完全硬化まで実験結果がわからなくって、完全硬化するのに2日くらいかかるので時間との勝負になってきます。
 下地をブラックにしているのは、どの程度下の色を覆い隠すかチェックするためです。ホワイト下地と比較して発色の良さをチェックします。
 テストの結果、次の素材にしぼって使うことにしました。
・フタロシニアンブルー(海のメインカラー)
・フタログリーンイエローシェード(海の色にグリーンで変化)
・ジェルメディウム(激しい波の隆起)
・グラスビーズ(波の大きな泡)
・レジンサンド(波の小さな泡)
・パールホワイト(白波の模型的な輝き)
・チタニウムホワイト(自分が感じる白波の自然な色)
・グロスポリマーメディウム(最後の光沢仕上げ)
 グラスビーズ+ウルトラマリンブルーの組み合わせも結構いい感じですが、今回は採用を見送りました。
 テストは失敗というか採用しなかったものもありますが、それがまた経験につながり次回作につながると思っています。
 「はじめてだから、まっいいか。」というのは今回はしたくなかったです。いくつもいくつもの波の写真などを並べながら似たようになる素材と筆運びを試しました。
 
 ジェルメディウム・グラスビーズ・レジンサンド・チタニウムホワイト・パールホワイト、これを混合比を変えつつ隆起させていく。
 一気に隆起しないので少しずつ少しずつ時間をかけて盛り上げていきます。塗ってからその都度2〜3日乾燥させました。塗っては乾かしの繰り返しを何層も繰り返しました。
 白波の硬化途中にフタロシニアンブルーをすごく薄めたものをウォッシングのように染み込ませました。とにかく自然な感じになるように、子どもの「海の動物」「世界の乗り物 船」などの本を拝借して、見ながらそれに似るようにしていきました。
 マスキングをはがしてみました。
 だいたいいい感じです。
 納得する海面が作りあげられてきました。
 見えにくい股関節の間や岩礁の間も筆を突っ込んで樹脂を流し込み、波をつくりました。

 チタニウムホワイトのみでドライブラシのように小波に色付けもしました。激しい印象の海面にしています。実際はここまでなりませんが、絵的にはやりすぎくらいがいいと思いました。
 岩礁にも波がぶつかって、白く泡立ちます。
 ズゴックの波とは違う高さの波を作ることで、ズゴックのほうの波を強調しています。
 タイトルプレートは、いつもどおり、アルミ板の切り出しに、MDプリンタで自作したデカールを貼りました。今回はその上にさらに透明無地のデカールを貼り、保護しています。
 エッジに白く残っています。これはエポキシ樹脂が完全硬化した部分をニッパーで切断したらこんな風になってしまいました。フタロシニアンブルーでリタッチします。
 この細かいところに神経を使うのが大事だと思っています。他の人の作品でもこういうところが気になります。
 リタッチも終了、あと一息です。

 しあげにグロスポリマーメディウムを2回ほど重ね塗ることで光沢をえます。このグロスポリマーメディウムはワックスのような雰囲気を持つメディウムで、最初は白濁しているのですが乾くと透明な輝きを持ちます。
 岩礁は熱帯魚などの水中用のオブジェをホームセンターで見つけたので、それをリペイントして使用。
 同じ大きさのオブジェを2個買ってきていたので、組み合わせに迷いました。1個にするか2個にするか・・・、この小さい山だけのこぎりで切断できないかな・・・なんて思っていたら運搬中に落としてしまい、偶然欲しい形状に。それがこれです。

 ドライブラシして立体感を強調し、さらにコピックで味付けをしました。一色の色で自然というのはできていないと考えています。
 上空から見た様子。
 ズゴックのバックパックの下の小山と前の小山は実はまったく同じ形状なんですが、ほとんどわからない。それで狙いどおりです。
 ここがこの作品のかっちょいいところです。ズゴックの足のダクトから水のスジがみえるところ。錆のような汚れも筋となって出ています。
 それぞれエナメル塗料のダークシーグレー+ホワイト、レッドブラウンでスジをいれています。筆で塗ってから軽く縦方向に拭き取るという感じです。
 完成! 「ハートォ!ブレイカーァァァ!!!」
 よっしゃあ、俺のイメージどおり!
 この絵だ!! これが俺の求めたイメージ!
 ガンプラならではのジオラマ!
 これが俺のジオラマだーー!(2006.01.03 UP)

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 次の早朝、MODEL RUNNERの掲示板に「へラットになってますよ。」との書きこみを見る。なんだこの書きこみは???荒し、いや雰囲気違うな・・・?待てよ・・・へラット?
 (タイトルプレートを確認・・・スペルを確認・・・)
 ああっつへラットブレイカーになってる!!汗汗汗!
 やばぁーい、大至急修整だぁ!
 今朝はジョギング中止でタイトル修整!(2006.01.05 UP)
 ラベルを印刷し直します。デカールデータを反転させて印刷します。以前のようにインレタで一文字ずつ転写していたら大変だった・・・

 上は普通のデカール、これだと貼った後に何か擦れるとはがれてしまう可能性がある。下はデータを反転させたデカール。文字がシートの内側になるので擦ってもはがれない。
 どちらも貼る時に“はがれ”のないように光沢コートしています。
 そもそもWAVEのデカール用紙は接着力が弱いため、木工ボンドを薄めた水溶液につけてアルミ板に貼り付けます、こちらのほうが貼る時にグリップ力もあがって、圧倒的に貼りやすいです。
 この反転技はとても効果的です。貼っちゃうとわかんないけど、「丈夫な作品づくり」というのは大事なことだと思っています。今回は、ジムの肩やズゴックのジオンマークにこの反転技を使っています。
 そういえば、サインしてなかった。
 私はジオラマ作った時は裏に完成日とかサインしているのです。ふぃー、やっと出来た出来た。

 ちょびっとだけズゴックの両足から出たアルミ線が出ていますね。
 そして完成!

 気を取り直してぇ!
 「ハァァートォ、ブレイカァァァー!」

 あとは百鬼夜行2に持っていくだけだ。
 とりあえず、ネットで発表できてよかった。
 完成してよかった、かなりホッとしている。

 RYUさんに送った画像は修整できないのであった。妻チコブルは、「それも面白いんじゃない」と無責任なことを言っているのであった。涙・・・
 (2006.01.06 UP)