初マラソン

 人生てのは、わからない。自分ていうのも想像つかないことがある。

 梅雨の真っ只中、私達夫婦は走った。富里町のスイカロードレースに出場した。ダンナが10キロ、私が5キロのレース。ダンナは元々趣味がマラソンだから、10キロなんて、何てことない朝飯前。私は高校生以来の走りだ。ふ、不安。走って何が楽しいのかわからない。でも、ダンナは楽しいと。ましてやQちゃんもシドニー走り終えて、笑顔でそういうし。私の頭の中には、何が、楽しいの?そこが知りたい!!こんな事でいっぱいだった。

 ・・・で、走ってみた。でも、何故にこの時期なのか?私の尊敬するヒラリー夫人には、ダンディーフーミンというパートナーがいる。子どもたちも独立し、夫婦二人のエンジョイライフを満喫している。夫婦で楽しむが基本!わっ私の理想の夫婦だわ!私達夫婦もそうなりましょう、ねぇダーリン。と、見つめたってあいつぁガンプラみてるよぉ〜。いつもがっくりなのだ。

 よ〜し、スッポン魂を見せてやれ〜とかなんとかで、ダンナのもうひとつの趣味に目星をつけた。手っ取り早く、出来そうなものからと、富里を選んだ。練習では5キロ45分だった。まぁこれなら制限時間内に帰ってこれそうだ、という予想をもとに、スタートした。
 完走、完走、絶対に歩かないぞ〜!これだけを目標にひたすら走った。無心に。自分に勝つと心に決めて。もあ〜、と悪魔のささやきが聞こえて来る。「みんな、歩いてるよ。歩いちゃえば〜。苦しいんでしょう?」、周りをみると、坂を駆け上っていくひとはパラリ。大体歩いてる。あ〜〜〜〜〜〜、えーーーーい、肉振り絞って、駆け抜けた。ゴールが見えてきた。ないはずのパワーがメーター振り切って、ゴール!!
 タイムは37分台だった。練習より8分も縮まったのも驚きだが、なんというすがすがしさ。余力もあるのにも驚いた。素直に楽しかった。理由は見つからなかった。・・・でも楽しかった。
 走りたい!今、無性に走りたいのだ!ダンナと老後を楽しく過ごすアイテムとして選んだマラソン。老後じゃなくても、今でもいい。あんなに走ることが苦痛でしかなかった自分が、今は走りたくてうずいている。人生って、環境とそこで出会う人達によっても大きく変わる。ダンナに出会えて、ヒラリー夫妻に出会えて良かった。それにも増して、マラソンに出会えて良かった。