打倒ホビージャパン

  結婚して一緒に暮らし始めた頃、私はあるものに嫉妬していた。なんでこんなにまでダンナを虜にしてしまうのか?どう考えてみても私の方が、女らしくて・・女だけど、絶対勝ってるはずなのに。
 なにがいいのか、ホビージャパン。

 そう私はこの本にとっても嫉妬していたのだ。毎日仕事から帰ってくると、すぐスーツ・ワイシャツを脱ぎ捨て、シャツとパンツになってホビージャパンにくぎつけ。ダンナの行くとこ行くとこ、本が散乱している。ちゃんと本棚にしまってよー。私の話もそっちのけ。いやいや、これは策を練らねば。

 色々考えたあげく、横をみるとパンツ姿で腹ばいになり、ご機嫌にホビージャパンを読んでるダンナの姿が・・・。ピン!!ときた。えへへへー、いたずら心に火がついた。ちゃちゃちゃちゃーとダンナのところに行き、ご機嫌なダンナのパンツをシャっとめくった。ブリンっとおしりがでたー。ここでダンナは嫌がるはずが、「やめろよー。」といいつつも、ほんと言うだけ。あんまり眼中にない。

 えーい、こうなったら、こうしてしまえー。右のおしりっぺたに油性マジックで絵を書いた。あらっ!あたしって才能あるんじゃない?!ちょっとやみつきになりそう。まるでアップリケ!!30男の尻アップリケ誕生!あはははーって一人で笑っちゃっていた。
 ようやくダンナが振り返った。「やめろってー。」
 はいはい・・・やめれませ〜ん。本当、たのしい。趣味にしようかな。いろいろ書く絵を考えるのが楽しくなって、大作を考えついた。左右のおしりっぺたに、それぞれ向き合うように横向きの顔を書いた。ダンナにおしりをキュッと締めてみてとお願いすると・・・なんとおしりの左右の顔たちがチューしてる。成功、大成功。「はい、力抜いてー。はい、キュッと締めてー。」なんて繰り返しやって、大笑い!!しっかりホビージャパンへのジェラシーなんて、どこえやらー。おしりアートに夢中になってしまっていた。

 その絵って油性で書いたからなかなか消えず、少しずつ薄くなっていくのも楽しかったなぁ。あー今日もまだ消えてない、アハハハーと毎日チェック。これで浮気もできないだろう?!尻にニコちゃんマークが書いてあったら、浮気相手もゲンナリだね、きっと。とか思ってニタニタ。それにしても、おしりがキャンバスになるとは、我ながら上手いこと考えるなぁ。もしかしたらあなたのおしりも、狙われているかも。ご注意を!!